映画原人の穴

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【映画】「猿の惑星:聖戦記(グレートウォー)」―実際、大佐の味方になっちゃうよな―

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概要

 歴史ある社会派モンキー映画「猿の惑星」。21世紀に入り、ティム・バートンの単品リメイクを経て製作されたシリーズもこれで最後だ。
 現代風にリメイクされ、ビジュアルの進化はかなり進んだとて物語の本質は伝統を守っており、「人類の終わり」を描写した様々な著作のサンプリング的なストーリーとなっている。
 あとシーザー(アンディ・サーキス)の顔が激渋すぎるぜ!

 


あらすじ

 人類とエイプスの戦争は激化し、エイプリーダーであるシーザーの妻子も戦いの犠牲になってしまった。シーザーは人間側の大佐(ウディ・ハレルソン)を目的地とした復讐の旅に出るが、途中で口のきけない人間の少女と出会う……


感想

 「猿の惑星」は今の若者にとっては「名前は知っているが、どんなのかはイマイチわからない」作品である。理解度的には「お猿さんの映画」というのが本音ではないだろうか。

 しかし、その物語には様々なメッセージが込められている。よく言われるのが公民権運動であるが、日本人にとって興味深いのは「猿=日本人」とみたて、メイドインジャパンがアメリカを支配するのではという危機感を、猿が支配する世界のイメージに昇華させたという黄禍論的な考えだろう。
 最も原作者の考えは違い、知性が人間である証明でありそれをなくしたら動物と変わりないという「人間は考える葦である」的なアレだ。

 今回の聖戦記は前回までの人類が数を減らし、猿と人類が拮抗している世界が舞台だ。いや、猿の方が優勢である。
 しかし、人間たちは猿が人類にとって代わって地球を支配する存在になることに我慢がならないでいる様子で、猿を殺すことに躍起になっている。

 親にとって何歳になっても子は子であるように、人間にとって猿は喋っても猿に過ぎないのだ。劣った奴らにひれ伏すのは我慢がならねぇってことだな。
 そもそも人間は猿が人間に勝るとも劣らぬ知能を持っているなんてインチキだと考えているのだ。それはオリジナルの第一作「猿の惑星」に登場してくる猿たちの人間に対する軽蔑と変わらないものだ。

 「猿の惑星」に登場する人間たちは口を利くことが出来ず、勿論アタマも弱かった。今回は「猿が君臨しつつある惑星」だが、まだ人々は言葉を話し、テクノロジーを行使する。
 つまり今回はいかにして「人の惑星」から「猿の惑星」へ変貌したかを見せつける内容なのだ。

アインシュタインは第3次世界大戦がどうなるのかわからないが、第4次世界大戦は「石コロと棒」が主な武器になるだろう……と言った。「~聖戦記」はまさにそれを地で行く展開を見せる。
 第3次世界大戦は前作までに描かれた。今回はそこから如何にして「石コロと棒」の世界になるかを描いている。

 シーザーは人間にある変化が起きつつあることに気付く。それは人間の終わりを明確に示す兆候であり、それは大佐がいくら頑張ってエイプ殺しを続けたとて抗いようのない出来事なのだ。人間の歴史が不条理に打ち勝ち、進歩する過程であるとするならば、進歩を不可能にするその兆候はまさしく「人の惑星」の終わりだ。

 そういった壮大な終末世界を見せつけてくる作品だったが、少しばかりそこに関しては性急すぎたかもしれない。他にもシーザーの西部劇風復讐の旅や、バッド・エイプ(スティーブ・ザーン)のおとぼけコメディ、可愛らしいノヴァ(アミア・ミラー)の可愛らしいシーン、人間同士のいさかい(呆気ない)などテンコ盛りだからしょうがないのかもしれないが。

 哲学的なストーリー。美しい色彩と構図、加えて泥臭い戦闘描写……宗教画の美しさと宗教戦争の過酷さを同時に表現しきった作品だ。 

 

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