映画原人の穴

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【映画】「マッド・ドライヴ」―正気にては大業ならず?―

マッド・ドライヴ(字幕版)

概要

 原題「Kill Your Friends」。なぜこの邦題になったのかというと、主演のニコラス・ホルトと音楽担当のジャンキー・XLがどちらもあの超大ヒット作「マッドマックス怒りのデス・ロード」に参加していたからだ。
 ドライブと言えば、ニコラス・ホルトは「アウトバーン」というカーアクション映画にも主演していたが、今回は車はほとんど登場せず、音楽業界の内幕モノとなっている。

 


 

あらすじ

 大手レコード会社で「A&R(ミュージシャンの発掘・育成、楽曲制作等を担当)」として働くスティーブン(ニコラス・ホルト)は、次なる大ヒットを求め、それによって自分が出世することをなりよりも大事なこととしていた。
 そのためには彼はどんなこともする。例えば友人を殺す事さえ……


感想

 この映画は90年代のイギリスが舞台となっており、当時の英国音楽業界は、「オアシス」等の新しいバンドが次々と現れては大ヒットしており「ブリットポップ」と呼ばれる一大ムーブメントの時代だった。
 90年代イギリスを代表する映画「トレインスポッティング」はそのブリットポップをふんだんに使用した作品であり、そのサントラを聞けば当時の熱狂ぶりが簡単に想像できるので時代を知るのにもおすすめの名盤だ。
そして今回の「マッド・ドライブ」においても勿論「ブリットポップ」はふんだんに使われ、業界にいながらもその楽曲を全く理解するどころか聞こうともしないスティーブンの奇妙さが際立っている。彼はなぜ音楽界から離れないのか。

 盛者必衰の理はここでも適用され、2000年を迎える前に「ブリットポップ」は終息した。原因の一つはレコード会社やマスコミによる無理やり誇大な宣伝によって不相応な注目を浴びる「ハイプ現象」により、実力が足らないスターが粗製乱造されたからだ。
 
 映画の主人公スティーブンはそのハイプ現象を「指揮していた」側の人間だ。音楽に対する愛情なんて全くなく、ただ利益のみを考えている。彼が求めるミュージシャンとは、才能があり自身の音楽に自信と誇りを持ちそれを貫く人間、ではない。
 求めるのは実力がなくとも売れるためなら何だってする人間だ。そうした人間を集め、必要な処置を施し、大宣伝を行えば不思議とヒットするのだ。

 そんなやり方を繰り返してわけだが、次第に時代とのズレが生じてくる。やること全てが裏目に出始め、彼は絶望の淵に立たされる。どん底に落ちてしまうのだ。つまり、映画のお約束である「下に落ちたら這い上がるだけ」理論が適用されるのだ。
 多くの物語で、この理論が使われているが、あまりにも多いのでむしろ胡散臭くなる。とくに今回は悪人が主人公なのだ。
 しかも、彼の生き方は割と自分が理想とするものに近い。それは「自分の信念を曲げず、それを信じて必死に打ち込む」というものだ。果たしてそれを理想とし続けていいものか……自分の生き方を考え直したくなる一本だ。現実には「ブリットポップ」は終焉したわけだから考え直せってことかな?

 

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