映画原人の穴

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【映画】「IZO」―この世に不可欠なものは……ない!―

IZO [DVD]

概要

 人斬り岡田以蔵をモチーフにした時代超越系時代劇。とにかく以蔵が人を斬りまくる。

 


あらすじ

 岡田以蔵(中山一也)は死刑となり槍に貫かれ死んだ……はずだった。しかし、
彼は不死身の身となり江戸の世から現代まで時代を越えて容赦ない殺戮を続けていく……


感想

 DVDパッケージには「ヤクネタ映画」と書かれ、ビートたけしからボブサップに至るまで無数の著名人が登場している。いったいどんな映画なんだ?そして観てみると岡田以蔵によって彼らが一瞬で殺されていくのを次々とみせつけられていくのだ。なんだこれは!

 この映画で岡田以蔵はまるでキリストの様に描かれていく。まず磔の状態で登場する。そして寺島進遠藤憲一によって槍で執拗に刺し貫かれるのだ。なにもそこまで……と思うのだが、結局以蔵は復活するのだ。
 復活した以蔵は救世主として活躍していくのかと思ったら、手当たり次第に殺戮を繰り返していく。劇中切り殺される一人が「おまえはなぜそんなことをするのだ」と呟くが本当にそうだ。

 それは劇中で繰り返し、権力への抵抗であると主張される。以蔵=中山一也は藤原竜也をしのぐ絶叫でそれを発し、小学校では子供たちが「国家とは大多数の人間を同一のマインドコントロール状態に置き、支配者に都合よく機能させるための虚構のシステムである」と答える。
 映画にはスターが必要不可欠だ。スターにはたくさんのファンがいる。彼らは目当てのスターを見に映画館にも足を運ぶから、映画ではスターをどれ程魅力的にスクリーンを支配しているかが重視される。お手軽に抜けるAVと根本は一緒で、売れる作品を作るためにはストーリーとかはあまり関係なく、抜ける(萌える、キュン死にする……)カットを繋げていけばいいのだ。
そんな映画も面白いのだが、「IZO」が制作された2004年当時はそういった類のものが氾濫し、その後邦画は長い暗黒時代に突入していくことになる。もしかしたら「IZO」はそういった映画に反抗しているのかもしれない。
 中山一也という存在(wikiでもみて確認して欲しい)そのものが、そういった多数に支持されるものへの反抗に他ならないからだ。
 

 登場するのは皆が皆、単独で主役をやれる人たちばかりだ。そんな彼らが次々と、まるで総集編の様にばたばた死んでいく。当時劇場で鑑賞した人はさぞかし呆然としたことだろう。「ミッチーを見に行ったら一瞬で死んだ、なにが起こったのかわからねーが……」みたいなかんじに。
 この映画では命は限りなく取るにたらないものとして描かれる。別作品では尊重される人物たちは次々と呆気なく殺され、死ぬ間際のセリフ(死ぬときやたらと喋る映画ってあるよな)や死にざますらなく次へ移行するときもある。

 主要人物だって結局のところただの一人でしかない。復活した以蔵はこの世の中で自然に信じられている社会構造から人命の価値に至るまで徹底的に破壊していくのだ。「お前が普段気にしてることなんて全部大したことねーよ、バカ」と言われている気分だった。考え事に縛られた現代人たちに、何も考えさせなくするヤクネタ映画だ!

 

 まあ、たいていの人はそれ以前にこれを観ないだろうし、観ても途中で止めちゃうか。

 

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