映画原人の穴

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【映画】「ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章」―その壁を突き破れ!―

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概要

 荒木飛呂彦原作の「ジョジョの奇妙な冒険」は、1987年に連載開始されてから今に至るまで熱狂的なファンを数多く抱える人気漫画だ。
 世界観や価値観、特徴的なキャラクターにセリフ回し、独特な絵柄やポーズは漫画というジャンルを軽々と飛び越え、ひとつのポップアートとして確立されたと言っても過言ではない。
 そんなわけで実写化するにはなかなかハードルの高い作品ではあるのだが、監督:三池崇史、主演:山崎賢人と、漫画原作をこなしまくっている奴らを登用し、完成までこぎつけた。
 どのような形で映像化したのかがとても気になる一品だ!

 

 

あらすじ


 最近、変死事件が立て続けに起こっている杜王町。そこに住む東方仗助山崎賢人)は、その事件にかかわるアンジェロ(山田孝之)の邪魔をしてしまったことで付け狙われるようになる。
 ふたりはスタンドという能力を持つ人間であり、他にも、まるで引かれ合うようにスタンド使いが現れる……

 

感想


 「ジョジョ」の実写版第一弾となるこの第一章は、完全にプロローグといった作りだ。ジョジョ4部は魅力的なキャラクターが数多く登場し、ボリュームもデカい。変に物語をまとめるよりもこうしたほうがリスクは小さい。実際に映画は手堅くまとめているといった印象だった。
 S市杜王町のロケ地をスペイン・シッチェスにするという決断は上手くいき、誰がやってもコスプレにしか見えないと思われたジョジョたちは街の中を全く違和感なく動いている。また、スタンドによる戦闘シーンはジョジョらしい奇妙さで満ちているし、ストーリーも原作のあちこちから要素を抜粋し、続編への期待を高めながらも一本の作品として完成している。

  ジョジョ特有の語尾が伸びるしゃべり方もあってか少々間延びした印象があるのは否めないが、それはM県っぽさでもある。北国の人々はしゃべりがノロいというのは「ファーゴ」でも描かれていたことだし、M県出身者としてもそれは事実だ。

 とはいえ原作をまったく同一になぞり映画としては疑問を持たざる作品になったわけではないし、独自路線を突き進んで失敗したわけでもない。

 洋ゲーと和ゲーの大きな違いは自由度といわれている。洋ゲーと言えばオープンワールドを自由に動き回り、メインストーリーを無視してその世界を堪能することができるのが魅力だ。オーソドックスな和ゲーは世界を動き回るにはメインを進める必要がある。

 実はコミック原作作品も自由度が全く違う。
 日本の漫画は一人(でなくとも1グループ)が一つの作品を描ききる。それが唯一のオリジナルであり、他は二次創作でしかない。だからこそ、アニメだろうが実写化だろうが原作から何一つ変えてはいけない!という原理主義的な反応があふれかえる。作家性が高過ぎなのだ。
 一方、アメコミは分業制が確立されており、ストーリー、下書き、ペン入れ、色塗りなど、それぞれにプロフェッショナルがいる。そして彼らが様々に手を取り合い、同一キャラクターの様々な物語を作り上げていくのだ。現在活躍するアメコミキャラクターは大抵何十年もの歴史を持っている。その間。時代の流れと沢山のクリエーターの個性によりキャラクターは魅力的であり、なおかつ柔軟に変化できる存在となっていった。長年をかけて創造されてきた多様なコミック群それぞれが「正史」でありながら「絶対」ではないのだ。こちらはむしろ作家性が殆どない。

 「ジョジョ」は明らかに荒木飛呂彦という漫画家によって創造された唯一無二の作品だ。今まで西尾維新などによって正史と言える小説が刊行されてきたが、世間でそれらは二次創作としてしか見られていない。荒木飛呂彦が書いたわけではないからだ。

 

 この様にジョジョ実写版は劣勢からのスタートだった。しかし!監督を務める三池崇史は「殺し屋1」によって邦画が進むべき漫画映画の航路を決定した偉大なる男なのだ。その道とは極端に振り切るというエクストリーム道だ。
 漫画は他の映像作品に比べ、明らかに規制が緩い。エロ本でなければ、どんなことを描いたって全年齢対象だし、一般漫画にエロ本紛いのモノはいくらでもある。山本英男による「殺し屋1」という漫画もまた過激な描写に溢れた作品だった。三池崇史はそれをただ実写にするのではなく、ストーリー・キャラクター・エログロ……全てをさらにつっぱらせたのだ。

 そうして完成した「殺し屋1」は原作どころか映画そのもの逸脱してしまうような作品となった。しかし、それが唯一無二のモノとなり多くのフォロワーを生み出す事にもなったのだ。

 今回は一本撮り切りだった「殺し屋1」とは異なるシリーズ化を前提とした映画だ。シリーズ第1作からエクストリームに走るのは危険だ。押井守による劇場版「うる星やつら」、ノーランによる「ダークナイト」それはどちらも第2作がコミックの延長線を大きく逸脱した傑作として今もなお、そして今後も末永く見続けられるであろう作品だ。そして両方とも第1作については、前者は劇場用に構築された漫画の延長線として、後者はバットマンという長い歴史を持つキャラクターの新たな出発点として、これからの布石となるであろうプロローグ的な作品だった。つまり今回の「ジョジョ」と一緒だ。

 つまり、ワーナーは第1章の興行成績が悪かったとしても絶対に2章を作るべきだ。これから杜王町にはさらに強烈なキャラクターがわんさか登場する。そいつらが実写になり、三池崇史の手にかかるとどんな風になって出てくるのか楽しみで仕方がない。
 現在、杜王町で開催されている「ジョジョ展」と併せて楽しむのがグレートだぜ!

 

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