映画原人の穴

映画を中心とした感想ブログです。ネタバレなしです!

【映画】「メッセージ」―静かなるダイナミズムと究極への”回”答―

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概要

 テッド・チャンの「あなたの人生の物語」という短編小説を原作とした映画。簡単に言えば、宇宙人とのファーストコンタクトものだ。それを彼らとのコミュニケーション要員として召集された言語学者の視点から描いている。「インディペンデンスデイ」や「マーズアタック」に見られるどんちゃん騒ぎはほとんどなく、静かな情景の多い映画ではあるが、映像のダイナミックさ、ストーリーテリングの大胆さはそれらに引けを取らない作品となっている。

 


あらすじ

 世界中に突如、複数の巨大な宇宙船の様な浮遊物体が出現した。各国は独自に、又は連携を取りながらその正体解明の調査を開始する。アメリカでは軍のウェバー大佐(フォレスト・ウィテカー)のもとで言語学者のルイーズ(エイミー・アダムス)と物理学者のイアン(ジェレミー・レナー)を中心にその物体の中にいる宇宙人とのコミュニケーションを開始するが、宇宙人の目的を徐々に理解していく過程で人間同士の対立が深まっていってしまう……


感想

 原作小説を読んだことのある日本人はどれ程いるのだろうか、と思ってAmazonの原作小説ページを閲覧すると割と結構なコメントがある。とはいえそれの多くは映画を観て気になった人たちのようだ。やはり映画とは探求への導入口の様な役割を持っているのだ。映画を観ていろいろ気になって調べたり、読んだりするのを含めての映画体験である。
 Amazonでの原作に対するレビューや、wikipediaを読んで思うのは「原作コムズカシそー」って感想だ。短編とはいえ、いや、短編であるからこそ難解な単語を散りばめ、複雑なテクニックを用いた文章で構成しているのだろう。その短編作をここまで分かりやすく映画化できたというのはドゥニ・ヴィルヌーブの手腕が確かという事だ。

 しかも、ただ分かりやすい説明映画にするのではなく、映像と音をうまく組み合わせて何も起こっていない(デカくて意味不明な物体が浮いている以外)状況でも宇宙的なダイナミックさを十分に感じられるのだ。そういう理屈ではなく、目や耳を通して脳に直接的に訴えかけてくるテクニックが巧みなおかげで自然と作品の発するメッセージを理解できるのだ(原題は「Arrival」だが)。

 地球にやってくる宇宙人というのは火星人だろうが、ロボット生命体だろうが人類をはるかに超越した知能・テクノロジーを持っている存在と設定される。今回もそれは同じだ。どころか、究極の知能を持ち合わせた存在として登場する。究極の知能とはどんなものか、そして人類が究極の人類と意思疎通するとどんな出来事が起こるのかをシミュレーションしたような作品となっているのだ。
 究極生命体は最終的に考えるのをやめることを我々日本人は知っている……本作も似たような結論になっていると思える。人間の行き着く究極ってのは世界共通なのだ。それがわかるだけで本作は儲けもんだ!

 

 

あなたの人生の物語

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『メッセージ』(オリジナル・サウンドトラック)

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