映画原人の穴

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【映画】「LOGAN/ローガン」―これはアメコミ映画の一つの到達点だ!―

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あらすじ
 
 2029年、新しいミュータントは生まれなくなりその存在は絶滅間近だった、X-メンは解散し、ウルヴァリンことローガン(ヒュー・ジャックマン)はアメリカのはずれで運転手の仕事をしながらプロフェッサーX=チャールズ・エグゼビア(パトリック・スチュワート)を匿っていた。
 そんなある日、彼らの元へ一人の少女が預けられる。彼女はミュータントであり、ローガンと同じくアダマンチウムの爪を持っていた。ローガンは彼女を遠く離れた「エデン」へと連れていくことになるが……

 

おすすめ

 ウルヴァリンヒュー・ジャックマンが演じるのはこれが最後……。それを聞いてもそれ程動揺しなかった。X-メンは大概観ているがそれ程ファンではなかったからだ。
 しかし、今回は凄まじい衝撃だった。そのハードな展開とアクション、そして結末を見終えると彼のこれまでの足跡をすぐさま観直したいという欲求に駆られた。最近のアメコミブームに食傷気味の人にこそ観てほしい。この映画にはアメコミへの欲求を再生させる力がある。ウルヴァリンの最後の戦いに備えよ!

 

 

感想

 

過去最強にヘビーな設定

 実写版アメコミが、日本の漫画原作実写と違い違和感なく、映像化できるのはその原作コミックからしてバリエーションに富んでいるからだ。つまり素材が豊富にあるから、映像化の仕方にも工夫をしやすい。日本漫画のように「こうじゃなきゃダメ!」ということがほとんどない。
 今回のヒロインともいうべきローラ・キニー(ダフネ・キーン)も原作には何度も登場するキャラクターだ。映画だけ見ていると新キャラはすべて一から創作されていると思いがちだが、大抵のキャラクターはコミックではおなじみなのだ。昨年公開されたボンクラヒーロー「デッドプール」も実はX-メンキャラクターだ。
 
 今回は数あるアメコミ映画の中でとびぬけてヘビーな作品といえる。クリストファー・ノーランによる「ダークナイト」によってダークな世界観のアメコミが当たり前のものとなった。それでもすべてのアメコミ映画の根底には楽観が常にあった。それはヒーローが無敵だからだ。どんな危機に直面しても絶対に負けないヒーローが主役のおかげで観客もハラハラしながらも安心してみることができた。
 しかし、「ローガン」にはその楽観がない。衰えっぷりは半端ではなく、常に体は悲鳴を上げている。その上、良きリーダーであったチャールズはアルツハイマーを患い、ただの口やかましい爺さんだ。ローガンは彼を介護しながら金を貯め、いつか船を買って二人で余生を過ごそうとしているのだ。こんなやつが戦えるか?しかし、戦わざるを得なくなってしまうのだ。ダークでありながらも今までのアメコミ映画には悲壮感はなかった。しかしここにはある。

「ローガン」の世界観

 この「ローガン」は2029年に設定されており、ローガンは当初、メキシコとの国境の街エル・パソにいる。ここはメキシコ麻薬戦争がかかわる映画にはよく出てくる街で昨年の「ボーダーライン」でも登場していた。
 今回は麻薬ではなく、壁だ。トランプ大統領はメキシコ国境に壁を建設すると言っていたが、この映画ではそれが実現されているのだ。
 また、無人の全自動トラックが普及し、運送トラックのほぼすべてが全自動である。現在危惧されているハッキングによる不法操作についても取り上げられ、ストーリーに生かされている。
 作品全体を覆う殺伐さや絶望感は子供が生まれなくなった世界を舞台にした「トゥモロー・ワールド」ビデオゲーム「ラスト・オブ・アス」を彷彿とさせるが多分どちらも製作者の頭の片隅にはあっただろうと思える。
 
 そして本作では西部劇「シェーン」が大きく引用されているが、それは「暴力」とは何かという問いの継承だ。「ヒストリー・オブ・バイオレンス」でも述べたが、一度殺人を行ったらその人間は一生「人殺し」なのだ。良い悪いはなく、ただの「殺人者」だ。劇中さまざまな人物がさまざまな理由で殺人を行うが、特に終盤にいくにつれ観客は歯を食いしばるようにそれを見てしまうことだろう。


とにかく観よう!

 X-メンシリーズは実写版がヒュー・ジャックマン三部作とスピンオフ、さらに「X-MEN: ファースト・ジェネレーション」から始まる新三部作があり、初心者にはとっつきにくいかもしれない。しかし、初めにこれを見ても十分に楽しめるはずだ。いや、これを見ることでX-メンに取りつかれてしまうかもしれない。
 「ダークナイト」から始まったダークな部分もある大人のアメコミ映画はここで到達点に達したと言える。アメコミ映画に限らず「ナルニア国」など殆どの映画で暴力は残酷な部分を隠して描かれてきた。しかしその隠した部分が暴力の本質なのだ。今までそれを的確に描いてきた映画はある程度ニッチな客層に向けた作品がほとんどだった。しかし、「ローガン」は世界で何百億も稼ぎあげる作品だ。アメコミ映画はまた一つ成熟した!

 

 

Ost: Logan

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Logan Deluxe (Original Motion Picture Soundtrack)

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ウルヴァリン:オールドマン・ローガン (MARVEL)

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キックアスとかウォンテッドの作家だ