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映画原人の穴

映画を中心とした感想ブログです。ネタバレなしです!

【映画】「ゴースト・イン・ザ・シェル」―原作の雰囲気を期待してはいけない―

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あらすじ

 人間が自らの脳を直接ネットに繋ぎ、身体を義体化(=機械化)するようになった時代。サイバー犯罪やテロはますます高度化し、荒巻大輔(ビートたけし)率いる「公安9課」はそれらへの対応を専門としていた。
 9課に所属する”少佐”(スカーレット・ヨハンソン)は生身の部分はほぼ脳と脊髄だけの全身サイボーグ捜査官であったが、自身を義体化を担当したハンカ社に対するテロ事件を捜査する中で、自身について疑問を持っていく……

 


おすすめ

 濃いマニアの多い士郎正宗原作漫画をこれまた強烈な信者の多い押井守が映像化した「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」が1995年に公開されてから、実写化の噂は常にあったわけだが、遂に実現した!
 監督のルパート・サンダースは学生時代にテレビアニメ「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」に出会い、そのハードな世界観とアニメーションにすっかり魅了されたそうだが、ただ原作を忠実に映像化しようとするのではなく、実写版オリジナルの要素をミックスすることで、危惧されていた大爆死は見事回避した!という感じになっている。ぜひ観に行って興行に貢献してくれ!


感想

 「こんなの攻殻じゃない!」なんて言っているとしたら……根本から間違っている。そんなのはポスターをひと目見ればピンときて、予告編を観れば確信することだからだ。
 今更、押井守が作り上げた世界観やキャラクターを原理主義的に求めるのは間違っているのだ。東洋人だった少佐を白人であるスカーレット・ヨハンソンが演じるのも欧米で論争になったようだが、取り立てて問題視する様な改変ではない。

 そういう事前の問題はさておき、今回の実写版が面白かったのかどうかというと……まあ、面白かった。
 熱烈なファンが世界中にいる作品が原作の場合、映画化するには二通りの道がある。一つは原作に忠実に作り上げる無難な方法、これが一番オーソドックスだし失敗も少ない。けれども、原理主義的なファンは延々と粗探しをする事だろう。
 もうひとつは、原作を下敷きにはするが、全体的にはオリジナリティを出してくる作品だ。例えば、松田優作監督主演作「ア・ホーマンス」狩撫麻礼の漫画を原作としているが、それは下敷きどころかトッピングの一つほどの役割りしかなしていないので改変どころの話ではない。
 押井守自身も「うる星やつら」という超人気漫画をただ原作通りにこなすだけの作品ではなく、自身のオリジナリティを出したアニメとして生産し、しかもそれが非常にうまくいっていた実績がある。そもそも押井守攻殻機動隊だって士郎正宗の原作とは雰囲気が全く違うのだ。
 
 で、今回のハリウッド版だが……原作の再現とオリジナリティのバランスが結構良かったと思う。
 監督はまず、アニメの中で自分が特にお気に入りのシーンを抜粋し、それを軸として映画を作り上げていったという。つまり原作が骨となり、オリジナル要素をそこに肉付けしていったのだ。ちなみにオリジナリティの多くは原作を観ていなくとも設定を理解しやすいようにする「理屈付け」だ。例えば、バトーの目とか。
 中途半端に原作要素をつぎ足すのではなく、どこで原作感を出すのかが最初っからしっかりしているので原作との差異ががっつりあるにも関わらず、あまり気にならないのだ。

 攻殻の世界観と言えば日本なのか香港なのかわからない無国籍な雑居感と、街そのものがCPU回路のようにぎっしりとテクノロジーで敷き詰められたような近未来……が同居した街並みがおなじみだが、本作においては雑居感がちと目立ち過ぎて、ハイテク感がない。
 巨大な立体広告が張り巡らされているのは予告でも確認できるのだが安っぽい「ブレードランナー」感が漂う。まあ、その安っぽさを狙っているのかもしれないが。
 さらに監督はもういいよ、とツッコみたくなるほどしょっちゅう空撮的に街並みを見せてくるのだ。映画のテンポとしては、話の展開→空撮→話の展開、といったかんじが繰り返さる。

 ビートたけしの滑舌は映画館では何となく聞き取れるが家では多分難しいだろう。てなわけで劇場鑑賞をオススメします。

 

『ゴースト・イン・ザ・シェル』公式アートブック THE ART OF 攻殻機動隊 GHOST IN THE SHELL
 
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『ゴースト・イン・ザ・シェル』 本予告