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映画原人の穴

映画を中心とした感想ブログです。ネタバレなしです!

【映画】「キングコング:髑髏島の巨神」―この島で、人智は無意味―

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あらすじ

 ベトナム戦争終結したころ、嵐に囲まれた未知の孤島”スカル・アイランド”に学者や軍人で編成された調査隊が派遣された。
 人間たちが調査のために島に爆弾を投下すると、明らかな怒りの感情を抱く巨大なゴリラが目の前に現れた……

 


おすすめ

 アメコミヒーローが出版社ごとにユニバースを形成して大成功した。そのお祭り騒ぎが怪獣たちにも飛び火した!
「ダークナイト」など大作映画でお馴染みのレジェンダリー・ピクチャーズ「パシフィック・リム」「GODZILLA ゴジラ」「ジュラシック・ワールド」ときて今回は「キングコング」を繰り出し、ゴジラキングコングを二本柱に「モンスターバース」を宣言した。まさに世界規模の怪獣大決戦が幕を開ける!


感想

 最近、超大作規模でのモンスター映画(怪獣含む)が相次いで製作されている。10年ほど前は「スネーク・フライト」(主演はサミュエル・L・ジャクソン!)が関の山だったことを考えるとスゴイ変化だ。
 この様になったのはひとえに”レジェンダリー・ピクチャーズ”の功績と言っていいだろう。

 レジェンダリー・ピクチャーズの創始者トーマス・タルは映画を金儲けとしか考えない重役ではない。彼自身が重度の映画オタクであり、「自分自身が観たいと思う映画」を作ることを映画ビジネスの根本としているのだ。
 それは今まで作ってきた映画のラインアップを観てみればわかるし、それが売り上げと評価ともに好調なのは今後の映画製作の良い追い風となることだろう(現在、会社は中国の大連万達グループに買収され、タルは経営からは退却している)。
 
 その風は一応日本にはしっかり届いており、レジェンダリー・ピクチャーズ製作の『GODZILLA ゴジラ』のヒットにより製作された「シン・ゴジラ」は邦画ではすっかりお馴染みとなった”製作委員会方式”ではなく東宝一社での製作という事もあってか、庵野秀明を始めとする本気でゴジラに取り組んだオタクたちの活躍を邪魔されない体制だった。
 その為に作ることのできた作品だったと言える。そう、現在は昔の特撮やコミックの全盛期にそれ貪っていた少年たちが権力を持つ時代に至ったのだ。

 「キング・コング」は2005年にも映画が作られており、それの監督はピーター・ジャクソンだった。彼もまた、幼少期に「キングコング」に魅せられたオタクであった。
 今回の「~:髑髏島の巨神」は若干32歳の若手オタク、ジョーダン・ヴォート=ロバーツがメガホンをとっている。彼はWikiの日本語ページがまだ作られていないほどの新人ではあるのだが、見どころがあるという事(過去作のカンジやまだ若いから必死に働くだろうという見立て?)で超大作を任されたのだ。アメリカのこういうところはイイよね。
 彼もまた重度のオタクであり、本作には彼が観て育ったであろう様々なコンテンツのエッセンスを確認することが出来る。

 映画を映画館で観る時代は終わった、と言われながらもIMAXやら4Dシアター(4DXやMX4D)で映画館でしか体験できない面白さにより巻き返しを図ろうとしている映画業界において、ヒーローやモンスターが大暴れするスペクタクルアクション映画は最も新技術を生かすことのできるジャンルなのだろう。

 私は今回、TOHOシネマズ新宿においてIMAX3Dという規格で鑑賞してきた。劇場は満席で素晴らしい活況だった!
 ……で鑑賞した感想だが、正直に言うと予想を上回る出来ではなかった。IMAX3Dにはあまりしっくりくる映画ではなかったのかもしれない。なにせ一番IMAX3Dの素晴らしさを感じたのが一番最初のカウントダウンだったからだ。あとは割と「サウルの息子」並の近接撮影なども多くて目が疲れた、というのが本音だ。IMAXの使い方に関しては「ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー」の方に圧倒的な軍配が上がる。

 とはいえ、つまらなかったというわけではない。映像は結果的に目がショボショボしてしまったが、最初のコングとの遭遇シーンは本当に”巨神”感が出ていて人類が相手になる感じが全くなく圧倒的なパワーを感じ、その後の大騒ぎの想像が掻き立てられる。
 対する人間たちはというと……、今までのキングコングやモンスター映画では、結局モンスターは人間の手により消滅していた。結局のところ、人間が地球最強なのだ。しかし、今回の人間は負けムードが漂っている。

 そんな人類の代表人物として登場するのがアメリカ軍人のサミュエル・L・ジャクソンだ。部下を何人も死なせたベトナム戦争で、輝かしい勝利を手にすることが出来なかった彼は新たな戦場を『髑髏島』とした。
 ベトコン相手に手にすることのできなかった栄誉を今度はゴリラで手に入れようとするのだ。機関銃やらピストルをもって体重30mのゴリラに立ち向かっていくさまは悲壮そのものだが、その異常な執念と目力は明らかにやり過ぎで、部下も思わずげんなり顔。しかも不幸なことにコングは歯向かうものに対し一切容赦しないし、島にいるモンスターはコングだけではないのだ。

 まず、この島にはやたらデカい生き物がウロウロしていて、足が槍のように鋭く、人間をたやすく突き殺してしまう巨大クモや、小枝どころか大木の丸太に化けるナナフシ。コングと同じほどでかいタコだかイカだかよく分からない水中生物まで登場する。
 しかし、これらは人間の脅威にはなれど、コングの足元にも及ばないモンスターだ。この島でのコングの宿敵は「スカル・クローラー」と呼ばれる物凄く獰猛なヤツだ。今回の怪獣バトルは主にコイツとコングの一騎打ちだ。

 そんな奴らであふれているもんだから、映画の宣伝であったように「人類は最弱の存在」なのだ。今までの様にコングをニューヨークに連れていくなんて到底無理な話だし、サミュエル・L・ジャクソン率いる有能なアメリカ軍人たちには、映画にありがちな英雄的な死さえ許されない。お決まりの「マザファッカ!」も言えない……。
 そして調査隊には不思議なメンツが一人、中国人女のジン・ティエンだ。彼女は「スペシャルID 特殊身分」「ポリス・ストーリー/レジェンド」に出演したかと思ったら、突如としてこの「キングコング」とマット・デイモン主演の中国モンスター映画「グレートウォール」、つまりレジェンダリー・ピクチャーズ作品に立て続けに出演しているのだ。
「グレートウォール」の方では予告からも素晴らしい活躍の場が与えられているようだが、本作ではまるで「バイオハザード」のローラみたいになっている。お前はいったい何しに来たんだといった感じで、良い方にも悪い方にも役に立っていない。
 まるでバラエティ番組ではしゃぎまくってスベリまくる大御所を腫物を扱うかのように丁寧に処理しているようだ。

 ともかく本作はいろいろと変なところの多い作品だったが、戦闘シーンは白熱しててカッコいいし、それ以外にも楽しい要素もあった。エンドロールの最後までお楽しみに!

 

 

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映画『キングコング:髑髏島の巨神』特別映像(Kong is King)【HD】2017年3月25日公開