映画原人の穴

映画を中心とした感想ブログです。ネタバレなしです!

【映画】「刑事物語」―現代のゆがみを鍛えなおす男―

刑事物語

 

あらすじ
 
 博多にあるトルコ風呂(ソープランド)が摘発された、その現場で片山刑事(武田鉄矢)は聾唖のソープ嬢、ひさ子(有賀久代)を保護する。
 その境遇に同情した片山は刑事の身でありながらひさ子の身元引受人となり、静岡県沼津市に異動となったのを機に二人は同居生活を始める。
 沼津では最近、売春をする素人達が連続して殺害される事件が発生していて、片山は捜査の応援に呼ばれたのだ……

 


おすすめ

 今年TBSが復活させるという「水戸黄門」。その黄門さまに選ばれたのが、本作でも主役を務める武田鉄矢だ。「刑事物語」も「金八先生」も「水戸黄門」もすべて”世直し”が話の軸となっているように思える。
 本作も売春地獄に苦しむ女達を救う世直し物語となっているが、原作・脚本ともに武田鉄矢本人が手掛けている。やはり本人そのものが熱血なのだろう。沢山の裸体もでてくるぞ(これも武田鉄矢の裏の顔)!


感想

 武田鉄矢のイメージと言えば「金八先生」と「僕は死にませぇん」だが、どちらも見たことがなく、もっというと他の作品も見たことがない。だからこの「刑事物語」が初武田鉄矢という事になる。

 武田鉄矢の名をネット検索してみると、金八からは想像もつかないエピソードがたくさん出てくる。その中で一番覚えているのは相手になった風俗嬢が「金八先生はこんな所に来ない!」とガチ泣きしたという話だ。

 この話を聞いて本作を観ると、武田鉄矢は風俗を知り尽くした男の中の男なんだと感心する。
 風俗をまともに知らない人間が風俗を物語に使う時、大抵の場合ゴミ溜めの底の様な描き方をされる。つまりこの世の地獄だ。それは普通の人は風俗嬢と知り合うことはないから風俗に堕ちる女なんてこんなもんだろ、とイメージだけで創作するからだ。
 でもそれだけではないことは明らかでそれは関連書籍を読んだり、実際に行ったりすれば理解できる。武田鉄矢もそれを理解していて、風俗をしっかりと生業にしているプロ嬢と、それこそ本当に地獄の様な境遇を送った末に売り飛ばされた嬢との区別をしっかりとしているのだ。この区別していないとしっかりと働いている嬢にとばっちりが来てしまうのだ。
 話の軸がソープランドなので女の裸がたくさん出るし、武田鉄矢のカラミもある。それがいちいち生々しくて現実的だ。思わず、普段こんなかんじで風俗楽しんでるのか……と想像してしまうほどだ。
 
 風俗話はその辺にしといて、他のところを見てみる。片山(=武田鉄矢)は胴長短足で背が低く、腰も低い。まあステレオタイプの日本人だ。
 でもそれは最強親父にありがちな油断させる姿であることは明らかだ。セガールと違い本当に強そうには見えないのだが、脱いだら分かるそのマッチョボディーは風俗嬢も感嘆の息をのむ。
 そしてその鋼の肉体から繰り出される恐るべき殺人拳。その名は「蟷螂拳(トウロウケン、つまりカマキリ拳)」だ!ブルース・リーと肩を並べる怪鳥音と共に繰り出せれるそれには並のチンピラは倒れ伏すのみだ。
 普段は温厚な男だが、弱い者を食い物にする悪者に対しては迸る怒りを抑えられない。相手を独特の言い回しで挑発し、圧倒的な力でねじ伏せるのだ。ちなみにカマキリ拳のほかにも、「ハンガーヌンチャク」という優れた現代武術も身に着けている。ハンガーならどこの家にもあるだろうから、武道入門としてはオススメだ。

 わき役も豪華で、ワンシーンのみの友情出演には「西田敏行」と「高倉健」が顔を出すし、警察仲間には小林昭二樹木希林、家の隣人は田中邦衛が登場する。残念なのはヒロインを演じた有賀久代は本作の後、「才能がない」といって引退してしまったことだ。長身でスタイルがよく、惜しげもなく裸体をさらしていたのだが、「聾唖のソープ嬢」という役柄は難しすぎたのだろうか。

 また、当時の街並みの記録としてみてみるのもいい、猥雑さとのどかさが同居した不思議な街並みで、これこそ日本の美だ、と思うのだが「おもてなし」では排除対象となってしまうのだろう。武田鉄矢の様子と相まって非常に純日本的な娯楽映画となっている。「水戸黄門」もいいけどコッチも復活してくれ!

 

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