映画原人の穴

映画を中心とした感想ブログです。ネタバレなしです!

【映画】「県警対組織暴力」―癒着につぐ癒着!―

県警対組織暴力

 

あらすじ
 
 昭和三十八年、西日本にある倉島市では、ヤクザ抗争が頻発していた。倉島警察署のデカ、久能(菅原文太)はヤクザと癒着しきったデカであったが、上手いことやり取りしているのも事実であった。
 ある日、倉島署にやってきた海田警部補(梅宮辰夫)は、癒着を厳しくチェックし、ヤクザとの交際を禁止した。今まで癒着でコトを進めていた現場は、この禁止令により綻びが生じてきてしまう……

 


おすすめ
   
 まずタイトルがスゴイ!『県警対組織暴力』って……。この題で映画が成り立つ日はまた来るのだろうか。来ないだろう。
 主演は菅原文太松方弘樹。どちらも既に死んでしまっている。特に松方弘樹は他界はつい最近(2017年1月21日)であり、追悼本が本屋で平積みされている。
 エネルギッシュな暴力描写と社会的なメッセージが100分に凝縮された傑作だ!


感想

 波打ち際に現れる三角マーク。BGMはチャカチャカで小気味がいい。カメラは街を走り、工業地帯を写し取る。そして若者がぎゅうぎゅうに詰まった車につながり映画が始まる。
 妙にせかせかしたその若者たちに近づく男は菅原文太!デカであるこの男は、連中がカチコミに行く途中であることを知っておきながら野放しにしてしまう。

 「お前らみたいなチンピラ引きずって豚箱に放り込んでも税金の無駄遣いじゃ、やって死んでしまえ!その方が掃除が早いわ!」

 このカッコいい啖呵をきりながら、連中からカネをせしめる。汚職デカなのだ。この男に限らずこの地域のデカは全員ヤクザと関係を持っている。倉島市のモデルとなったのは広島であるが、当時広島県警からこの映画に対して猛烈な抗議が来たのも納得だ。

 倉島市では大原組と川手組、二つのヤクザが争っており、大原組の若頭衆である広谷(松方弘樹)と久能は盟友である。であるから久能は大原組に便宜を図っているのだが、逆に川手組は県のトップ連中と仲が良い。その為、勢いがある大原組を潰すことを目的に倉島署へ派遣されたのが海田警部補なのだ。
 海田の監視により、久能達は身動きが取れなくなり、それにより広谷との仲にも綻びが生じてきてしまうのだ。

 癒着というのはどこにでもあるものだ。最近では森友学園の例の格安の土地売買もきな臭いが、田舎では古くからの慣習というものそれ自体が『癒着』といえるものであることが多い。 
 そろそろ6年たつ311(東日本大震災)だが、その復興に関する数々の土木事業などでもそうした癒着による不正が暴かれることが多々ある。
 「土地と癒着」というのは案外根深いものなのだ。この映画も、今起こっている現実も土地が問題となる案件だらけだからな。

 しかし癒着があることである程度物事がスムーズに進むという事も事実だ。不公平ではあるが無理に改革しなくてもいい問題というのも世の中にはあるのだ。なんたっていちいち細かい審査をすれば手間もかかるしね。
 とはいえ、不公平の”不”の側面を背負わされる人々は勿論その事実に対して抗議するだろう。平等が何より大事なのだ。だが、そこで例え”平等”を勝ち取ったとて、その人が新たに不公平を生みだすこともある。

 海田は癒着を許さず、清廉潔白な捜査態勢を重視する。そこだけをニュースで見れば、大衆はさぞかし彼を支持するであろう。しかし、ラストシーンを見れば、奴も結局は自分の利益を享受するために動いていたにすぎないことがわかる。

 結局のところ、改革というのは自分たちにも権利とか利益を寄越せ、と主張するものだ。最初は純粋な怒りだとしても、何時の間にか自分たちが利益を独占しようとしていた、なんて事だってある。
 平等のバランスは思いのほか難しく、並大抵の人間が維持できるものではない。なんたって日本人は1億人を超すのだ。全員が満足できるわけがない。

 ラストは今までの癒着は潰えたもののまた、新しい癒着が生まれたことを思わせる。癒着をつぶすのには癒着が必要という事だ。政治を少しかじればわかることだが直ることは今後も期待できそうもない。

 真似したくなる広島弁のかっちょいい応酬や、川谷拓三の取り調べシーン、数々の殴り込みなど、純粋な娯楽として楽しめる要素で満たされているように見えて、この様な社会的事案を考えさせる……この映画、並大抵のものではない!

 

 

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県警対組織暴力(予告編)