映画原人の穴

映画を中心とした感想ブログです。ネタバレなしです!

「バトル・ロワイアル」と子ども差別

バトル・ロワイアル

 

あらすじ
 その国では大人は自信を無くし、子供はそんな大人を軽蔑していた。子供を恐れた大人たちは『BR法』を制定する。毎年無作為に中学3年のクラスを一つ選び、最後のひとりになるまで殺し合わせるのだ。
 突如、互いに殺しあうことを強要された子供たち……タイムリミットは3日間、誰が生き残るのか!

 

おすすめ
 「まったく近ごろの若いもんは!」といった言葉は何時の時代でも聞くことが出来る。つまり今そう叫んでるおっさんだって若い頃はそう言われていたわけだ。
 「キレる世代」に「ゆとり世代」ときて「さとり世代」……と時代によって若者に対する蔑称(?)は変わってきたが、どれも『大人』が子供を一方的にそう呼びつけているだけで、肝心の子供たちの心情を察することは一度もなかった。
 この作品は『大人達』によって非難の的にされてしまったが、実は子供の気持ちをしっかり描けているのだ。子供はお前らが思っているよりバカじゃねぇぞ!

感想
 残酷描写の激しい映画は数あれど、それが真に恐怖をビシバシ感じさせてくれるものはあまり多くない。例えばピーター・ジャクソンが初期に撮った「ブレインデッド」は残酷描写がイき過ぎた為にむしろ笑ってしまうというギャグになっていた。だから観ている最中はみな笑顔だ。
 「バトルロワイアル」は本当に観ている最中怖くなる。これがアメリカで試写上映された時、殺戮描写の瞬間は劇場が凍りつき、間をおいて笑い声がパラパラと出たという。この笑いは描写が面白いという事ではなく、映画にマジでビビった自分に対してのゴマカシ笑いをしたのだ。かくいう私も最初に見た時怖くて途中で見るのをやめてしまった。
 別にもの凄い現実味のある作品であるわけではない。人の動きも演劇チックなところもあるし、自然ではないのだが、その世界としてはしっかりと成立しているのだ。そしてそれがものすごい実在感を放つのだ。初めて見たのは小学生5年生の時だったが、中学生になるのがとても怖くなったものだ。

 この映画が公開された当時は「ゆとり教育」はまだ施行されておらず、「西鉄バスジャック事件」など『キレる17歳』が世間を騒がせていた。この映画の背景もそれと同じく大人は子供を恐れていた。もしかしたらゆとり教育というものはキレる子供を抑えようとする意図もあったのかもしれない。まあ、結局は『ゆとり世代』が蔑称になってしまう結末(つまり失敗?)を迎えたが……
 しかし、ゆとりを馬鹿にする大人たちには言いたいことがある!本当に悪いのは「ゆとり教育」だったのか?もし完全週休2日にして詰め込み教育を緩和した”だけ”で今その世代が批判されている状態になってしまったというならば親は一体何をやっていたんだという話だ。子供の教育は全部学校に押し付けて衣食住の面倒をみるだけが親の役目か?それで親と言えるか?
 ゆとり世代である私から言わせてもらえば問題の根源は「ゆとり教育」ではない。もっと重要なのは「ネットリテラシー」だ。大人達からまともにインターネットの使い方を教わった子供たちがどれほどいるだろう?当時はパソコンが普及したてということで大人もパソコンをうまく扱えなかったはずだ。しかし子供は独自に過激な娯楽コンテンツを自分自身で探し当てた。
 インターネットというものは史上最大の無法地帯であり、何でもありだ。それが家の中で手軽に楽しめてしまうのだ!これは恐ろしいことで人の身体的特徴をあざ笑うネタ動画が学校ではやるという事もしばしばであった。それはハゲとかなんとかであるが、つまるところ大人を馬鹿にするコンテンツがあふれていた。教師キタノ(ビートたけし)が「おまえら大人なめてんだろ!」と憤るわけだ。
 何でも手に入るネットを大人よりも自在に扱えることから生じる全能感……、実際はそんなことはないのだが思い込んだらそれは(頭の中では)真実となるのだ。

 今の高校生はスマホ依存がひどいと声高に叫ばれている。しかし、17年前の2000年に「西鉄バスジャック事件」を起こした「ネオ麦茶」、2008年に「秋葉原無差別通り魔事件」を起こした加藤、他にも様々な事件がネットへの依存などから巻き起こった。昔から何も変わっていなかったのだ!特定の世代に後ろ指を指す前にやることはある!この「バトル・ロワイアル」は何もできずに、歪んだ目線だけをくれる大人たちへの不信感を見事に表現していた。

それに気づいたら、走り出すのみ!

 

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