映画原人の穴

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「アウトロー」―自然に強い男―

アウトロー (字幕版)

あらすじ
 ピッツバーグ。川辺の歩道を歩いていた人々を無差別に狙撃する事件が発生。狙撃現場に残っていた複数の痕跡により、容疑者として元アメリカ陸軍のスナイパー、ジェームズ・バー(ジョセフ・シコラ)が逮捕された。
 バーは取り調べの中で「ジャック・リーチャ―を呼べ」とだけ主張する。刑事と検事が何者か調べている最中、ジャック・リーチャ―(トム・クルーズ)は自ら出向いてきた……

 

 

おすすめ
 現在公開中の「ジャック・リーチャ― NEVER GO BACK」はこれの続編にあたるわけだが、気付かなかった人も多いかもしれない。
 タイトルからガチガチのアクションをイメージした人も多いだろうが実際はミステリー要素の強い作品となっている。全ての謎が解けた鑑賞後に、全体を思い返してみるのが、ミステリーの醍醐味だ。この作品はそれがとても楽しめた。

感想
 リー・チャイルドが創造した「ジャック・リーチャ―」はファンを多く抱える人気小説であり、これまで21作が出版されている。映画化第一作となる「アウトロー」は原作では9作目なのだ(ネバーゴーバックは18作目だ)。
 原作順に沿って映画を製作しなくともいい理由は、ジャック・リーチャ―が最初から最後まで変わらない、つまり成長しない主人公だからだ。そんな彼が流れ者として毎回違う場所、違う人物と物語を紡いでいくから過去作にとらわれる必要がないのだ。

 ジャック・リーチャ―は名探偵ではあるが、昨今の「SHRLOCK シャーロック」等の様な最新機器を巧みに操る捜査とは無縁だ。現場に足を運び、証拠品を調べることで得たデータを自らの知識と経験で検証する、ただそれだけだ。その際スマホどころかメモ帳すら使わない。劇中まったく成長しない男ジャック・リーチャ―の頭脳は常に最強なのだ。

 だからといって最強主人公特有の鼻につく感じは全くしない。それは常に一生懸命だからだ。
 何かの武術に精通した圧巻の実力者……ではなく何発かは喰らうのを前提にした泥臭い格闘。まるで自らの一部であるかのように華麗に車を操る……わけではなくガンガンぶつけながら必死に走り、しまいにはエンストまでしてしまうカーチェイスシーン。
 安易なキャラ設定をせず、実直に、寡黙に事を為していく姿がかっこいいのだ。また随所に微妙に笑える行動を起こす。
 
 周囲の人々も大きな魅力だ。相棒役のロザムンド・パイクはこの時まだ「ゴーン・ガール」でブレイクする前だが、表情が大げさではないのに感情の動きがとてもよく伝わってくる。
 後半から登場するロバート・デュヴァルの激戦を前にして軽口をたたける勇猛さは、まるで老いてなお衰えないキルゴア中佐だ。
 一番驚いたのはただのそこらのギャルだと思っていたアレクシア・ファスト!DQN演技からかわいい妹演技、さらには絶望に染まった悲愴な面持ちまでやってのけた素晴らしい女優だ。エキストラ陣もいい仕事をしている。

 地味な作品ながらカメラワーク、美術、照明、セリフ、ギャグ(?)、音……全てが巧みにミックスされ、渋い味わいになっている。大盛り過多のCGアクションに食傷気味の人はぜひ観てみよう。

 

アウトロー (字幕版)

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アウトロー 上 (講談社文庫)

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アウトロー 下 (講談社文庫)

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『アウトロー』予告編