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映画原人の穴

映画を中心とした感想ブログです。ネタバレなしです!

「ハリーとトント」―優しい世界に帰ろう―

ハリーとトント [DVD]

あらすじ
 妻に先立たれ、NYで猫のトントと共に暮らす齢70過ぎのハリー(アート・カーニー)は区画整理のため、アパートから強制立ち退き命じられ、NY郊外に居を構える長男一家に世話になるが上手く馴染めない。そこで長女がいるシカゴに行こうとするのだが……

 

 

おすすめ
 老人主役のロードムービーといえば、最近でいうと「ネブラスカ 二人の心をつなぐ旅」というのがあったが、あれが父子の旅なのに対し、これは老人と猫だ。更には途中で出会った人とも旅をする。猫が可愛いという楽しみもできるし、人間は一人では生きていけない、つながっているんだ、ということを再確認することもできる。

感想
 この作品は個人的には最も猫が可愛く映っている映画だ。主演のアート・カーニーはジャック・ニコルソンアル・パチーノダスティン・ホフマンを抑えてアカデミー賞主演男優賞を受賞したが、トントにも与えていいほどだ。
 
 とはいえ主題は老人と猫のキャッキャウフフではなく、旅で出会う人々との交流だ。ハリーが旅をすることなった理由は住まいを失ったことだ。劇中でしばしば引用される「リア王」と同じように思えるが、決定的に違うのは「ハリーとトント」は優しい世界であるということだ。
 ハリーの子供たちは皆ハリーを気遣っているし、孫はハリーを慕っている。出会う人も皆気の好い連中だ。
 それにNYからほとんど出たことがなさそうなハリーだが、思考の凝り固まった偏屈爺というわけではなく(ハチャメチャはするが)、ヒッピーのコミューンや”沈黙の行”、娼婦にも理解を示す。ACジャパン的に言えば「セトモノとセトモノがぶつかるとこわれちゃう、やわらかい心を持ちましょう」ということだ。だいじなことだなぁ(みつを)。

 そして終盤の展開は当時日本人は大号泣だったらしい。やはり日本人って感じだ。音楽は「ロッキー」をやる前のビル・コンティが手掛けており、美しいその旋律とビジュアルは心を温かく、豊かにしてくれる。泣いたわけではないが観た後はとてもすっきりした心地になった。