映画原人の穴

映画を中心とした感想ブログです。ネタバレなしです!

「グラインドハウス」―映画は終始垂れ流しにせよ!―

グラインドハウス ~デス・プルーフ&プラネット・テラー~ ビジュアル&メイキングブック

あらすじ
 プラネット・テラー:ある夜、テキサスの田舎で謎の傷害事件が多発し、病院は怪我人と死体であふれていた……。そして死傷者たちはゾンビに変貌していく……
 デス・プルーフ:テキサスの田舎にあるバーで女たちが酒と男、ハッパを楽しんでいた。そこに一人の男がやってくる。そいつは一日中その女たちの周りをうろついていたのだが……

 

 

おすすめ
 昔、繁華街のさびれた映画館では2本3本、一晩中映画を垂れ流していたという。それが”グラインドハウス”だ。そこで流していた映画はというと……爆発!車!セックス!残酷!ホラー!だった。もちろん観に来る女なぞいない!
 観客層の変化と建物の老朽化のおかげで今やとんと見かけなくなってしまった過去のお話だ。しかしテレビ屋がスクリーンを独占した今、我々が求めているのはこれじゃないのか?
 今から9年前の2007年、二人の男が当時のグラインドハウスのプログラムを再現した。当時の劇場を知っているおぢさんが懐かしむもよし、生まれた時代が遅すぎたと悔やむ若者(自分含む)が当時の雰囲気を味わってみるも良しの劇場体験型傑作ムービーだ!

感想
 2007年頃、私はエクスプロイテーション映画に夢中だった。とはいえ、劇場でそれにあたる作品が上映されることはめったになく、ネットでそれに関わる記事などを読み歩いていただけだが……。そんな時、この映画が公開されることを知った。しかし!完全版が上映されるのは都内のみ……だったのでDVD-BOXが発売されたときはすぐさま買いに走ったのだ。お値段1万円!当時の私には非常に高価(今もだが)な代物だったが、買ってよかったと思える代物だった。

 まず予告編から始まる。ダニー・トレホ主演の「マチェーテ」だ。裏切られ重傷を負ったトレホが暴力とセックスで復讐をする残酷映画だ。これは後に本当に作られた。そしてロバート・ロドリゲス監督による「プラネット・テラー」が始まる。

 話は単純で、毒ガスによって町中にゾンビがあふれ出し、そこから脱出しようとする、それだけだ。ゾンビは腐っているというより血の入った水風船で銃撃されると血糊がものすごく飛び散る、まあそれは人間もだが。全体的に大味で足が一本なくなったら義足代わりに銃を取り付ければいいじゃない、というアイデアにゾンビとストリップを足した感じだ。
 しかし、女優は皆セクシーで美人(ファーギーも出ている)。男のほうも大ボスはブルース・ウィリスジョシュ・ブローリンタランティーノもサイコ野郎として登場し、場を盛り上げる。終わり。

 そして中継ぎの予告が3つ、一つ目はロブ・ゾンビによる「ナチ親衛隊の狼女」。まあ、そのままの話でウド・キアや監督の嫁シェリ・ムーン・ゾンビ、更にはフー・マンチュー役でニコラス・ケイジまで登場する。
 次は「Don't」。監督は才能あるイギリス人監督エドガー・ライト。ドントドントドント……何をしても死亡フラグになってしまうホラー映画を巧みにギャグにしてしまう手腕は見事。相方のサイモン・ペグとは大きく水をあけられてしまった(スタートレックやミッションインポッシブルに準主役で出演)感があるがこれからも頑張って欲しいものだ。
 最後は「グリーンインフェルノ」で一部の人々を歓喜させたイーライ・ロスによる「感謝祭」。感謝祭という祝日に浮かれた人々に鉄槌を下す映画だ。下品で残酷な殺人鬼の手腕が見ものだ。あと血は舐めなくてもわかるだろ!そして締めの本編はクエンティン・タランティーノだ。

 タラによる「デス・プルーフ」は時間の大部分を物語を動かさない無駄話に費やす。女たちは皆tシャツにホットパンツで豊かな体のラインを浮かび上がらせている。個人的にはそれをじっと見ているだけで割と満足(撮り方が欲望モロ出し)なのだが、そこへ怪しい男、スタントマン・マイクカート・ラッセル)がやってくる。彼が乗っている車「デスプルーフ(耐死仕様)」でどんな事故が起きても運転手は死を免れられる。マイクはこの車を使ったある行為をするため、一日中女たちをつけていたのだ!静と動が一瞬で入れ替わる場面は圧巻であり、それまでのダラダラ会話の中身が吹き飛んでしまう。

 この2作は同じ場所が舞台に設定されており、2作にまたがって出演している人も何人かいる。これは当時の低予算映画はある場所にロケに行った際に2・3本を連続で撮影したり、俳優が他の撮影現場に行って稼いでいた事の引用だそうだが、物語が微妙にリンクしているため2本立ての楽しさは引き立っている。当時のグラインドハウスはド派手なポスターとチープな本編で知られていたが、こちらはポスターに劣らない派手な作品になっている。興行的には大赤字だったらしいが、それでもいいのだ。映画の歴史は映画で語るのが一番!ということを証明した「グラインドハウス」を観ずして映画好きは語れない!

 

 
グラインドハウス映画入門 (洋泉社MOOK 別冊映画秘宝)

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 これももともとはフェイク予告だったらしいぞ!
グラインドハウス ~デス・プルーフ&プラネット・テラー~ ビジュアル&メイキングブック

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 狼女とDon'tについて書かれていないのが痛いが他は上質だ!