映画原人の穴

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「怒り」―徐々に、一瞬で―

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あらすじ
 一年前の夏、八王子で夫婦が殺された。現場には犠牲者の血で大きく”怒”と書き残され、犯人はいまだ捕まっていない。警察は情報をもとに似顔絵を作成し公表するが、日本の異なる三か所で似顔絵に似た顔を持つ3人が現れた……

 

おすすめ
 日本が怪獣と入れ替わり青春物語に沸く中公開された「怒り」。一つの不確かな情報によって人を疑い、不安になり……起こす行動は今後の一生に大きな傷を与える。邦画ではめったにお目にかかれない骨太な映画であり、見慣れた役者陣の普段とは一味違った演技に注目!

感想
 「怒り」は3人の男を軸に物語が進む。3人とも殺人犯の顔にそっくり(森山未來はそうでもないが……)であり、しかも素性が知れないため周囲の人はまさか……いやいや、という話なのだ。
 重くて、後に引きずる話のように感じるが、実はそうでもない。それは作品が形よく枠におさまっているからだ。つまり観ているとその後の展開がなんとなくわかる物語になっているし、演出も正統派、というか観客の足を引っ掛けるようなことはないのだ。だから、観ていて安心していられる。
 事件というものは日々絶え間なく起こっており、その大小を問わなければ我々は何かしら事件にかかわっている。しかしながら、殺人事件などの刑事事件には普通の人は一生関わらないだろうと考えているし、多くの人は実際そうだ。しかし、それは起きるときは一瞬で起きるのだ。
 それが自分自身に関係することなら分かりやすいが、もしも愛する人が、信頼していた人が殺人犯だったらどうしよう。疑っといて無実だったらきまりが悪いからな。なにか気になることがあったら突き止めるのが普通だが、場合によっては知らんぷりをしている方がいいと思うのだ。しかし一度芽生えた疑惑の芽はジュクジュクと心を支配し、しまいにそれ以外を考えられなくしてしまうのだ。
 自然は美しいのに、周囲は楽しそうなのに、なんでこんな気持ちにならなければいけないのか。人間は案外ちっぽけなものなのだから、って感じで軽く問えたら楽になるのに。でも人生を幸せな場所に留めてくれる”イカリ”のような人はそうそう居ないから怖気づいてしまうんでしょうね。

 

怒り(上) (中公文庫)

怒り(上) (中公文庫)

 
怒り(下) (中公文庫)

怒り(下) (中公文庫)

 
小説怒りと映画怒り - 吉田修一の世界
 
「怒り」オリジナル・サウンドトラック

「怒り」オリジナル・サウンドトラック

 


「怒り」予告2