映画原人の穴

映画を中心とした感想ブログです。ネタバレなしです!

「グリーン・インフェルノ」―ジャンル映画はやっぱり必要だ!―

グリーン・インフェルノ(字幕版)

あらすじ
 アメリカの環境活動をしている大学生グループが森林伐採への批判ストを行うためアマゾンへ飛んだ。そこで未開の一族と遭遇する!!

 

 

おすすめ
 「食人族(1980)」や「スナッフ/SNUFF(1976)」、モンド映画といった一連の”嘘か、まことか!?”といった胡散臭さを漂わせた作品群はデジタル技術の進歩により本物の殺戮動画や事故動画がネットに出回った現在において存在意義をなくし、瞬く間に市場から駆逐されてしまった。そんな時代に「ホステル(2005)」で知られるイーライ・ロスが食人族映画を大スクリーンに復活させた!21世紀によみがえった食人族は我々に何を訴えるのか。そしてイーライ・ロスは主役のロレンツァ・イツァと結婚した、うらやましい。

感想
 この手の映画はDVD屋で裏ジャケットを眺める人が著しく少ない部類に入る。もちろん私は著しく少ない人に入るのだが、残念なことにスクリーンでこれを観ることはかなわなかった。とはいえ、想像以上の快作だったことに大満足だ!
 今回の主役(犠牲者)となる大学生たちはステレオタイプの、ジェイソンにすぐぶち殺される何も考えていない酔っ払い、やりまくり大学生というわけではなく、日々世界中の性差別や環境破壊に怒りを持ち、座って抗議をしている活動家のみなさんなのだ。
 アマゾンは開発が進んでいる今もなお広大であり、いまだ姿を見せぬ未開部族もいるという(この間NHKで”イゾラド”ってやってたね)。アマゾンを開発するということは彼らの住処を奪うこと。とどまることを知らぬ資本主義の波は彼らごとアマゾンを滅ぼそうとしているのだ。それを阻止するため、彼らは現地に向かうのだ。
 彼らの最大の武器はネットである。麻薬カルテルやジハード戦士がネットに動画をアップし、世界中に衝撃や恐怖心を与えたように彼らも環境破壊の現状をネットにアップすることで世界の関心を誘おうとしている。
 やっていることは立派かもしれないが、彼らは現実の危うさをあまりわかっていないようだ。ユーチューバーでもツイッターでもなんでも現在はよりショック性の強いものが人気を集める。その製作には危険が伴うわけだが、麻痺して後先考えずにそれに手をだし炎上してしまう人がなんと多いことか!
 今回の大学生たちも常に全能感のようなものを感じているように描かれる。スマホという万能の利器を持っているのも影響しているが、実際に現地に行ってみると虫とか蛇、さらにはただの現地の人々にも驚き、ビビり、泣き言を漏らす。井の中の蛙すぎる!結局、電波とコンセントがない環境で生きるのは不可能な連中なのだ。
 話せばわかる、とか人類みな兄弟、とか言って人々は地球を一つにしようとする。それが簡単にはいかないのは現在の世界情勢を見ればわかるだろう。結局、現実はこの映画の学生と変わらず、自身の理論の押し付けでしかないのだ。少し前は奴隷化して国の境界線も勝手に決められ、そして今はお前らの文化は野蛮だから言うとおりにしろ、Wi-fiをしっかり備えろだ?冗談じゃない!
 世の中では分かり合える人間だけではない、分かり合えないときはお互いそっとしていればいいのだ。作りこまれた映画というコンテンツはこんな簡単なことを言うのに一番適していると考えるね。
 このような重要なメッセージ性を備えた「グリーン・インフェルノ」はジャンル映画としての残虐表現もしっかりしている(これが一番大事)。死ぬまでの流れ、死に方が多種多様で工夫に富んでいるだけでなく、食人族の文化や、間抜けさをしっかりと描くことで血の通っていない野蛮人ではなく、しっかりとアマゾンに根を張った部族であるという実在感があるのだ。伝統と革新を備えた記念碑的な復活作だ!