映画原人の穴

映画を中心とした感想ブログです。ネタバレなしです!

「無垢の祈り」―いやな話は面白い?―

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あらすじ
 小学生のフミ(福田美姫)は学校ではイジメられ、家ではDV狂いの義父(BBゴロー)と宗教狂いの母親(下村愛=穂花)に囲まれて暮らすという逃げ場のない生活を送っていた。そんな中、近所で連続猟奇殺人事件が発生し、フミはその犯人に興味を持っていく……

 

 

おすすめ
 平山夢明の短編小説を映画化。一時は上映すら危ぶまれたがそれは作品の過激さが原因だ。というのもこの作品は上映するまでに幾度となく困難があり、製作に時間がかかり、上映館探しにも時間がかかり、お蔵入りの懸念すらあったのだ。それは監督の亀井亨(壇蜜の「私の奴隷になりなさい」)が原作のエグさ・非倫理性をしっかりと妥協なく描こうとしたからだ。渋谷のアップリンクのみでの単館上映で今後のディスク化は未定、見に行ける奴は言ってこい(※R-18)。

感想
 原作を読んだのはしばらく前だ。内容はうろ覚えだし、本そのものはすでに売り払っていた。平山夢明を知ったきっかけは映画評論家の町山智浩がやっていた”アメリカ映画特電”であり、そのスポンサー(?)が平山だったのだ。それからしばらく経ち、町山が創刊した「映画秘宝」を読んでいると「無垢の祈り」が映画化されたというニュースが……。個人的に平山と町山は切っても切れない存在になってしまった。
 あまり期待しないで観に行ったのだが、期待より下回る出来ではなかった。思わせぶりな構図が観客の予想を促し、かつそれと少しずれた方向へ物語が進む展開は何も起こっていないのにハラハラする好演出だ。また、クッションを挟んで油断させてからのショック描写も効き目ばっちりでイイ!
 渋谷アップリンクに行くのは初めてだったが(間違えて駅から真逆のイメージフォーラムに行くところだった)、今まで言った劇場の中で一番狭い場所だった。ソファは半分寝そべるような低いもので、ナイト上映ということもあり危うく寝てしまいそうになった。
 作品の舞台は川崎であるが、発展著しい駅周辺ではなく、風俗店や工場が立ち並ぶきな臭い地域だ。駅周辺に足を運んだことはあるが、この舞台あたりは経験がない。今度行ってみるか。
 場所もきな臭いが、出てくる大人はそれ以上だ。この作品は絶望的な境遇に置かれた少女が何たらかんたらという話だから大人たちは不快感漂うお近づきになりたくない奴らが勢ぞろいする。子供は大人の言いなり、としか見ていない奴らでそれぞれがそれぞれ独自の”謎の理論”でフミを言いくるめ好き放題する。嫌な話なのだがその謎の理論が意味不明すぎて笑えるのだ。映画とは不思議なものでいい話”げ”な物語はそこに隠された偽善性や偏見が垣間見えて不快になるのに対し、嫌な話は妙に笑えたりする。いっそのことフミが大人たちの謎理論にラップで対抗する「KAWASAKI TRIBE」にすればよかったかもしれない。
 ちなみに母親役の下村愛は実際にこのレベルの悲惨な家庭の出らしい。この作品はフィクションだが現実にフミと同じ境遇の子供は今も数えきれないほどいるのだろう。原作は読後感に神秘性があったが、映画版ではその現実をまざまざと思わせられた。
 あとこれはただの文句だが、衣擦れや車のエンジンなど環境音をやたらと強調するのはやめてくれないだろうか。劇中無音になるシーンがあるのだが何時また爆音がやってくるのかにドキドキした。それは本編と関係ないだろ!自主製作映画にはよくあることらしいがそこが一番の恐怖ポイントだった。

 

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[Innocent prayer ]Movie Trailer#1.1「無垢の祈り」予告篇#1.1