映画原人の穴

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「ジェイソン・ボーン」―新章の幕開けにふさわしい出来だ!―

Jason Bourne

あらすじ

 プライバシープライバシーと声高に叫ばれている現在。金融危機が起こり、テロリズムや暴動が頻発する現在。自分の過去を取り戻したボーン(マット・デイモン)はそんな社会から逃れるように光の当たらない場末でひっそりと生きていた。しかし、ニッキー(ジュリア・スタイルズ)が持ち込んだ新たなトレッドストーンの真実を知ったことで隠された過去を探し始めることに……

 おすすめ

 21世紀におけるアクション映画のリアル路線の礎を築いたあのボーンが帰ってきた!続篇が出ると聞いてここまで胸が躍ったことはない。10数年前、「~アイデンティティ」での公衆電話をぶち壊すチェイスシーンに夢中になった時の記憶は今もまだある。「~アルティメイタム」から9年たっていたことに驚くが、当時はまだスマホは無かったし、金融危機も311も起こっていなかった。世界は変わった、その世界でボーンはなにをするのか。新しい気配を感じさせる、新章の幕開けにふさわしい作品だ!

感想

 パソコン画面に注目しよう。過去3作において、CIAがテクノロジーを駆使してボーンを追うシーンはたくさんあったものの観客はそれを操る職員たちの様子を見ることで間接的にその凄さを感じ取っていた。しかし今回は直接パソコン画面をみせる描写が多い、そしてそれを我々は直感で理解できる。タッチパネルによる直感的な操作はUIの進歩を促し、そしてメカに弱い人でも簡単に何でもできるスマホは爆発的に普及した。それに伴うSNSの膨大なデータは貴重なものであり利用次第では……というわけで今回はそれがキーとなる。

 ネットで出た情報が完全に消えることはほぼない。埋もれたとしてもふとした時に掘り起こされる。過去の呪縛から逃れようとしても誰かがそれを探し当ててしまうわけだ。今回のストーリーの発端もそんなカンジ。「~スプレマシー」でアボット(ブライアン・コックス)が言っていたことはネット社会の真理なのだ(「過去からは逃れられん、最後まで」)。

 今回はギリシャアテネが最初の舞台となるが、ギリシャといえばソブリン危機だ。劇中での国会前のデモは日本の国会デモが遠足に思えるくらい過激に描かれている。激しい市民と警察の攻防の間を縫うように展開されるチェイスシーンは今までよりも激しく、衝撃的だ!換骨奪胎と言って感じで様変わりはしていないが確かな変化がそこにある。

 終盤はラスベガスで開催されるITイベントにスポットが当たるが、そういえば「マネーショート」においてもラスベガスでイベントがあった。調べてみるとラスベガスはカジノだけでなく、豊富なホテルなどを活かしたイベント誘致に積極的らしい。こういう地味なところのリアルさが物語に深みを与えるのだろうか。

 ヘザー・リー(アリシア・ヴィキャンデル)、アセット(ヴァンサン・カッセル)、デューイ(トミー・リー・ジョーンズ)といった新キャラもいい。リーの野心、アセットの執念、デューイの老獪さ、とキャラがみんな立っているしシンプルでわかりやすい。そしてラストに流れるMobyの「Extreme Ways」は最早様式美だ。


Moby - Extreme Ways (Jason Bourne)

 社会や周囲の環境、人が変わっていってもゆるぎないアイデンティティを持ち、戦い続けるボーンの勇姿を見逃してはいけない!

 

Jason Bourne

Jason Bourne