映画原人の穴

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「シン・ゴジラ」―小池百合子はゴジラになれるか?―

シン・ゴジラ音楽集

あらすじ
 東京湾で謎の巨大生物が出現した。それは陸に上陸し、町を破壊していくが日本政府は政治や法の束縛でうまく対応できない。結局その生物は特に何をするでもなく海に姿を消し、翌日には普通の日常が戻るが、被害地域からは微量の放射線量が観測された。その生物はいったい何者なのか、また上陸してくるのか。その対策として設立された「巨大不明生物特設災害対策本部」を筆頭に人々の戦いは始まった。

 

おすすめ
 戦後間もなくに原爆・水爆によって生み出されたゴジラ。その反戦反核の力強いメッセージも備えた娯楽怪獣映画は半世紀たった今も新作が生み出される大人気シリーズとなった。今回のゴジラは3・11という巨大災害が下敷きにあり、ゴジラを震災としてとらえ、その対策に追われる人々の”頑張り”に焦点が向けられた。必死に日本を守ろうと奮闘する様は胸が熱くなる!

感想
 正直に言うと全然期待していなかった。それは実写版「進撃の巨人」の失敗やハリウッド版「GODZILLA」の後追いという事実(日本が本家なのに!)。さらに予告編などから漂うオタク臭さ、つまり軍事や政治の描写がねちっこくてウザそうとか、「”シン”には神・真・新などの意味が含まれてます」みたいな進撃で失敗したり、エヴァが終わってないくせに何調子乗ってんだ!など理由はたくさんある。それに公開直前にラジオ出演していた市川実日子が「シン・ゴジラ」について話していたのをたまたま聞いたのだが、宣伝のはずなのにまったく面白そうに思えなかった(彼女は内容を把握できているのだろうか?)ということも付け加えておこう。

でも結果としては非常に楽しめた。政治や軍事の描写は非常に濃厚だったものの、うまくライトに仕立てていたという印象だ。もし現実において日本にゴジラが登場したら?というのが今回のテーマだと思うのだが、ハリウッド映画のようにいきなりドンパチが始まるわけはないだろー、と延々と会議が続く。3・11においても膨大な数の会議が行われ、それはしっかりと記録されている。庵野秀明はその記録を今回参考にしたらしい。
 その会議では「前例がない!」とか「予想外の想定外」といったセリフが何度も出てくる。結局、皆地位が大事なのであり、地位を守るには何もしないのが一番の安全牌なのである。特に縦割りがしっかりと区切られた組織において、それぞれの部門が手を組んで皆で頑張るというのは難しい。もし頑張るとしたらそれは責任転嫁のパス回しだ。しかし、ゴジラの強大な力はそういった長年にわたって守り続けられていた構造を一瞬で吹き飛ばした。これは改革のチャンスだ。今、築地市場豊洲移転問題で報道は大騒ぎになっている。思えば、小池百合子はこの問題を都知事選の頃から強く主張していた。つまり、この問題の綻びから都政全体の改革のチャンスがやってくると踏んでいたのではないだろうか。今までは東京を世界にアピールするのに必死で、内部にはあまり目を向けていなかった都知事が多かった。小池百合子は都庁を生まれ変わらせる”ゴジラ”になれるかもしれないのだ。
 シンゴジラに話を戻す。邦画はハリウッドに比べると予算は確実に劣る。多分今回もハリウッド版の10分の1レベルの予算だろう。特撮が日本の誇りだったのも今は昔、日本はチープな映画ばかり作る国になってしまった……、と思っていたのだが今回の特撮はハリウッドとは違うベクトルで味わい深いものだった。最初はゴジラをフルCGでやるというので「やめときなよぉ、敵わないよ!」と思っていたのだが白組が頑張ってくれたね。戦い方もただドンパチするだけではなく様々な工夫が凝らしてあり、超強いゴジラを何とか攻略しようとする人々の必死の戦いは手に汗握る。
 俳優陣の豪華さもすごい。役どころの大小にかかわらず、様々な場面でこの人知ってる!という役者が登場する(前田敦子は気づかなかった)。つまり、この映画に出てくるすべての人、もっと言うと何でもないような生活をしているような人でもそれぞれが主役なんだ。俺も主役だぞ!

 

ジ・アート・オブ・シン・ゴジラ

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シン・ゴジラ音楽集

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