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映画原人の穴

映画を中心とした感想ブログです。ネタバレなしです!

1954年版「ゴジラ」から「シン・ゴジラ」へ・・・・・・

ゴジラ

 

あらすじ

 日本沿岸で謎の漁船失踪事件が相次ぐ。それは伝説で伝えられていた怪物「ゴジラ」の仕業だった!何故ゴジラは復活したのか。人間にゴジラを抑える力はあるのか!

 

感想 

 7月29日に「シン・ゴジラ」の公開が始まる。2004年に北村龍平監督により「ゴジラFINALWARS」が作られてから12年経ち、その間2014年にはハリウッドで日本では不可能なビッグバジェットでゴジラが作られた。では何故その大作ゴジラが公開された2年後の今、何故再び日本でゴジラが作られたのか(ハリウッド版が大ヒットしたからだ!)。

 

 「シン・ゴジラ」の総監督を務めるのは庵野秀明。あの「エヴァンゲリオン」シリーズで知られる男だ。彼は大の特撮オタクで知られ、エヴァンゲリオンウルトラマンからだいぶ影響を受けている事は有名だ。2009年に公開され、超大ヒットを記録した「エヴァ破」においては随所で円谷作品へのオマージュが見られた。そしてその続編「エヴァQ」が公開された2012年、彼はある企画を行った。「大特撮展」だ。

 

 ゴジラであれウルトラマンであれ、その魅力的な映像は着ぐるみとミニチュアの街を用いて制作されていた。しかし、CG技術の発展で脈々と受け継がれてきたその特撮技術は時代の遺物となり、過去に子供たちを夢中にさせた様々な着ぐるみやミニチュアも廃棄を待つ身となってしまっていた(円谷プロそのものも危うかったし、現在はパチンコの子会社……)。この事態を憂慮した庵野は粗大ゴミ同然だったそれらを救済し、「大特撮展」で一挙展示した。結果としてそれは大盛況となり、また、特撮の新しい形を掲示することにもなった。

 

 この展覧会での上映用に製作された「巨神兵、東京に現る」はただ単に過去を慈しむだけの作品ではなかった。それは実写特撮とCGの巧みな合わせ技により全く新しい日本の特撮を実現してみせた。この作品を庵野とともに制作した樋口真嗣(特撮はすごい人だ!)はこの特撮技術を用いて大ヒット漫画の実写劇場用作品「進撃の巨人」を制作した(特撮の評判は良かった)。

 

 「シン・ゴジラ」において樋口は特撮に専念し、脚本・総監督は庵野が担当する。庵野の実写映画といえば「キューティハニー」が知られるが、今回はどうなるのだろうか。シン・ゴジラの焼け焦げた大木みたいなビジュアルや捻くれたミリオタが好みそうな予告編など不安な点は尽きないが、期待も尽きない作品である。アメリカでアメコミが流行を迎えている様に、日本においてはこの新しい特撮の流れが流行して欲しいと思っている人は多いのではないだろうか。夢が広がるよね。

 

 思えば私はゴジラとはほとんど関わらない人生だった。実は今までほとんどゴジラ映画を観たことがなく、唯一見たのがエメリッヒ版の「GODZILLA」だった。なので、ゴジラファンがあれをいくら酷評したとしても私は純粋に巨大トカゲ映画として楽しんでしまえたのだ。

 しかし偶然そんな私に初代ゴジラを鑑賞する機会があった。それは神保町シアターで1ヶ月かけて行われていたゴジラ全シリーズの一挙上映だ。ゴジラに興味のない私はその催しの存在にも全く気付いていなかったのだが、偶然シアターを通りかかったことでこれを知り、しかもその時が最終週であり次の上映が初代ゴジラである事に運命を感じ、鑑賞することを決意したのだ。

 

 観たことはないにしても初代に関する様々な知識は持っていた。特撮娯楽でありながら、政治的メッセージが強いこと。アメリカで再編集された「怪獣王ゴジラ」はそのメッセージ性を全カットし、主人公を白人にしたことなどだ。で、実際観てみると自分の想像以上にそのメッセージ性が強かった。ゴジラが水爆で目覚めたという設定は、第五福竜丸の被曝事件から強く影響を受けている事は教科書にも載っていることだ。ちなみにこの事件は1954年の3月に発生し、ゴジラの公開は同年の11月だ。今では考えられない制作スピードだ。

 

 また、ゴジラを殺す切り札「オキシジェン・デストロイヤー」は現実の原子爆弾をモチーフにしたであろう恐ろしい兵器であり、劇中の開発者である芹沢博士(平田昭彦)の考え方はそのまま原爆への批判へとつながっている。また都市を破壊する人類の敵であるゴジラそのものも水爆により安寧を侵害された被害者であり、それがゴジラへの同情そしてその後のシリーズ化にもつながっている。

 

 映画そのものとしては私はてっきり序盤でゴジラがガーッと登場し、その後は延々と大破壊の進攻を描いているのかと思いきや、人間ドラマに割と重点を置いていた。上記の芹沢博士の葛藤やゴジラに対する人々の反応だ。とはいえ、いくら原点といっても今の映画に慣れた人にとって初代は少々退屈に感じるかもしれないが、これを観ることで得るものは大きいだろう。始まる時のドキドキ感はすごいぞ!