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映画原人の穴

映画を中心とした感想ブログです。ネタバレなしです!

「キングスマン」―男たちよ、ボンドをみならえ―

KINGSMAN / キングスマン(初回限定版) [DVD]

あらすじ

 エグジー(タロン・エガートン)は幼い頃に父を亡くし、ヤクザと再婚した母と自堕落な生活を送っていた。ある日、車の暴走で逮捕されたエグジーは父の仕事仲間だったという英国紳士のハリー(コリン・ファース)に保釈の面倒をみてもらう

 感想

 ①天才系主人公

 エグジーは素晴らしい才能を持っているにもかかわらず、それを活用できずにみじめな生活をしている「宝の持ち腐れ系主人公」だ。

 エグジーは車の暴走で逮捕されハリーという紳士に助けてもらうわけだが、彼こそが「キングスマン」の一員でエグジーの父をそれにスカウトした男だ。父親キングスマンの就職最終テストで殉職したのだ。

 「キングスマン」とは表向きは高級テーラーだが、本当の顔はどこの国にも属さない凄腕スパイ組織なのだ。

 もちろんエグジーの事も調査済みで、今は情けないが本当は素晴らしい素質があることにハリーは気付いており、エグジーを先日殺されたエージェントのランスロットの襲名選抜にスカウトする。

 エグジーは自分とは明らかに住む世界の違う他の襲名候補生たちと訓練に励むのだが、難なくこなしてしまう。結局エグジーは父親の素質ある遺伝子を受け継いだもので天才キャラなのだ。訓練だって自らを鍛えるというより隠れていた才能を確認する作業に過ぎない。

 何より許せないのは直ぐに候補生の女二人とすぐ仲良くなれること。お前はジェームズ・ボンドか!って思ったけどこの作品の監督マシュー・ヴォーンは007が大好きらしいのだ。

 ②マシュー・ヴォーンの映画

 まあ英国紳士でスパイって時点で007を意識せざるを得ないのだが、劇中でコリン・フォースがスパイ映画について「今の妙に深刻なやつより昔の大げさな方が良いよね」と言っている。これは明らかにマシュー・ヴォーンの本音だろう。

 最近のスパイ映画は全部硬派で無駄をそぎ落とした作風だ。ジェイソン・ボーンが出た時からそれは始まり、『007』もクレイヴ版からはリアル路線になり、車にロケットを積まなくなった。『スペクター』(15年)は大げさ路線に回帰したらしいが。

 『キングスマン』は勿論大げさ路線だ。身に着けたスーツ、ペン、靴......全てに過剰なまでのギミックが入っており、しかも見栄え重視だ。

 悪役も抜群で、演じたサミュエル・L・ジャクソンはそれだけで印象深いが、昔の007悪役を上回る、巨大な野望には頭が下がる。大虐殺をするくせに血を観るだけで吐き気がするキャラを見事に演じている。吹き替えはシュワちゃんでお馴染みの玄田哲章だ。

 ③俺たちは紳士になれる!

  この映画では「紳士」というものが非常に重要視され、紳士とはどのような人間なのか、という問いがエグジーの成長のキモだ。エグジーは貧しく更に問題のある家庭で育ち、大学には行ったことがないし、海兵隊も半端にやめてしまった。

 しかし大事なのは階級や学歴、豊かさではない。ハリーが言うには紳士とは「礼儀」と「マティーニづくり」だ。

 礼儀とは相手を敬う気持ちの表れだ。自分の立ち位置が分かっていない人間にはまともな礼儀は期待できない。

 マティーニはシンプルな酒であり、だからこそ作った人間の能力が問われる。終盤で酒に毒を入れるシーンがあるが、相手が真の紳士であれば味の変化に気付いたはずだ。

 というかジェームズ・ボンドマティーニ好きなだけなんだろうけどね!