映画原人の穴

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「マッハ!無限大」―面白さは無限大?―

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あらすじ

 大切にしてる象が盗まれた!敵を追え!象を救え、戦えトニー・ジャー!!

 感想

 ①トニー・ジャーの偉業

 主演のトニー・ジャーは2003年の「マッハ!!!!!!!!」で衰退気味だったアジアン格闘アクション界に活を入れた偉人(スーパーモンゴロイドZ)である。

 彼一人で格闘アクションの流れを変えたと言っても良い。具体的に言うと格闘技映画の主軸は2003年以降東南アジアになった。「7人のマッハ!!!!!!!」や「チョコレート・ファイター」、「トム・ヤム・クン!」そして「ザ・レイド」と東南アジア製の良作が作られている。

 そして出演者達の活躍も目覚ましく、トニー・ジャーは「ワイルド・スピード SKY MISSION」へ出演したし、「ザ・レイド」組では主演、イコ・ウワイスとマッド・ドッグ役のヤヤン・ルヒアンは「スター・ウォーズⅦ」に、SWAT隊長役のジョー・タスリムは「ワイルド・スピード EURO MISSION」に大抜擢された。

 空手映画もカンフー映画も廃れてしまった今、アジアの格闘は東南に集結しており、その基礎を築いたのはトニー・ジャーなのだ。

 ②実はマッハではない!?

 「~無限大」以前にマッハ!シリーズは3作作られている。私は最初しか観た事がないのだが、第一作のストーリーは大事な大仏の頭が盗まれ、それを取り戻すというものだ。そして今回の「無限大」のストーリーは大事な象が盗まれ、それを取り戻すというもの……って大仏を象に変えただけじゃねーか!

 というかトニー・ジャーが主演した「トム・ヤム・クン!」はそのまま象が盗まれて取り戻す話だった。調べてみるとこの「無限大」は実は「トムヤムクン2」らしい。プロットを使いまわして、「チョコレート・ファイター」のジ―ジャーやウータン・クランのRZAによる出演陣のゴージャス感だけで続編を作ってしまった省エネ演出作品なのだ。

 しかしそれだけでは足りなかったようでトニー・ジャーは今まで禁じていた数々の技を解禁する。

 ③CG,ワイヤーなんでもあり!

 トニー・ジャーが世界中に名を知らしめた理由は完全生身のノースタントアクションだったからだ。勿論CG,ワイヤーも使わないし、早回しも無しだ。その制約の中で超人的なアクションを次々と行い、その映像に我々は驚嘆した。

 今回はその制約を全部解除するというのだ。これはかなりのチャレンジでジャーの最大のアピールポイントである特殊効果なしの肉体アクションではなくなってしまう。

 これに「逃げたな」とか言って嫌悪感を持つ人も多いだろうが、個人的には問題ないと思っている。結局それらは使いようであるからだ。例えばジャッキー映画はワイヤーの使い方が凄い上手くて、それは生身のアクションの迫力を倍加させる効果を持っている。要はそれに頼るのではなく、自らの能力をより良く魅せる道具として活用するのが大切なのだ。

 ④どうしたトニージャー!

 正直に言うと「マッハ!無限大」の出来にガッカリした。前作までにあった色々な要素をグレー―ドアップしたようだが、単純に数を増やしたりするだけではむしろ散漫とするだけだ。

 CGの出来もよくないし、無駄に多用しすぎ。というか全ての要素が練り込み不足で肝心の格闘シーンは量、質ともに不足気味で印象に残らない。何よりもガッカリしたのが編集だ。私がジャッキー映画を大好きな理由はアクションに連続性があるからだ。

 連続性とはつまりリズムであり格闘において一番重要なものだ。ジャッキー映画ではそのリズム感が抜群であり、それが奇想天外なアクションでも説得力を持つ要因になっている。対してハリウッド映画では一発一発のアクションでカットを切り替える為リズムが途切れ途切れで全然アクションにノることが出来ない。詳しくはYoutubeのこの動画を見て頂きたい。


Jackie Chan - How to Do Action Comedy

 

 では本作はどちらかというと、残念ながらハリウッド寄りだ。せっかくジャーもジ―ジャーも出ているというのにアクションのリズムが全くないから観ていて面白くない。

 それに小道具を全くうまく使えていない。バイクシーンは段取りがまる見えで緊迫感がないし、周りにいろんな物が転がっているのに誰もそれを使った面白アクションをしない。

 東南アクションの特徴は重い痛みの描写だと思うのだが、今回はそれも中途半端だ。というかストーリーも単純なプロットの上に色んな要素を乗せまくった結果、ブレまくりのこぼれまくりで凄い不安定。キャラクターも皆ハマってないから観ていてすごくどうでもよくなってくる。

 結論としてはいろんな要素に手を出して、それら全てに失敗したという感じだ。ここで思ったのは東南アクションの問題点だ。まず人が少ないのではないかという事。確かに今、東南アクションは注目されてはいるが需要に応えられる俳優は一体何人いるのだろうか、思い返してみるとタイはジャーとジージャーだけだし、インドネシアも「ザ・レイド」組だけだ。

 このままいくと案外衰退も早いのではないかと不安になる。だからジャーさんには今回の反省も踏まえより上質なアクション映画を作り続けてもらいたいですね!

 

 

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