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映画原人の穴

映画を中心とした感想ブログです。ネタバレなしです!

1961年版「ゼロの焦点」―未来は誰にもわからない―

邦画

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あらすじ

 見合い結婚で結ばれて一週間、仕事の引継ぎで金沢に出張した夫はそのまま消息不明になる。妻の禎子は金沢に赴き捜査に乗り出すが……

 感想

 松本清張作品はその多くが幾度もなく映像化されており、この「ゼロの焦点」も映画は2本(2009年にも作られた)とドラマが6本製作されたらしい。時代の変遷とともに語り継がれているという事だろう。

 その為作品の認知度が高く、私も松本清張作品の題名を幾つか空で言えるが内容については一作品も説明できない。そこでこの映画から清張作品に歩み寄ってみようと思ったわけだ。

 なぜ数ある作品の中でこれを選んだのかというと、監督が野村芳太郎だからだ。私にとっての野村芳太郎とは「八つ墓村」(主演渥美清)であり、それで脚本を担当した橋本忍が「ゼロの焦点」でも執筆している。しかも共同で山田洋次が参加している。「鬼畜」も野村監督作なのだがそれは後で観よう。

 この作品の本質は一言でいうと「ほつれ」だ。バタフライエフェクトともいう。要は少しの変化が後々に大事件の発端になるという事だ。映画「バタフライエフェクト」ではそのものが物語のテーマとなったが、人生というものは実際バタフライエフェクトそのものではないだろうか、今の経験が今後どのように影響するかなんて誰にもわからない。その時の価値観で「する」か「しない」かの判断をするのは実はバカバカしい事だ。しろ!!

 これは現在の誤った合理、効率的価値観にも当てはまる。即効性のあるものが持て囃される現在、人文学などの一見なんの役に立たなそうなものを軽視する人もいるが、実はそれが片づけ本やライフハックなどよりも重要なのではないか。

 この作品では過去の出来事がどんどん悪い方向に作用していく。女性の立場が今よりも弱かった時代の物語で、幾らあがいても結局は金持ちの旦那に嫁ぐのがなによりも女性の出世であった時代だ。

 春を売る、というのは何時の時代でも女性の重要な収入源であると同時に偏見も多い職業だ。生き抜くために仕方なくすぐに稼げるこの仕事に従事していたとはいえ、それが後の自分の人生に、特に嫁ぐときに悪影響を与えてしまうとはなんと悪魔的な職業だろう!

 この陰湿な物語は50年前の金沢を舞台にし、当時の金沢の陰鬱さと田舎臭さが絶妙にマッチしている。クライマックスの断崖のシーンにおいては作品公開後実際にそこで身投げが激増し、清張直筆の歌碑がたてられたという。

 良い作品とは良くも悪くも人に影響を与える。ただの娯楽であるはずの映画も人生にほつれを生み出せるってことだな。

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 ←原作とは少し展開が違うらしいぞ

 

 

 

 

 

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 ←特典映像の映画紀行的なものも味わい深い

 

 

 

 

 

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blu-ray版は綺麗になっているらしいぞ

 

 

 

 

 

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 ←小奇麗になっているが……