映画原人の穴

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「マネー・ショート 華麗なる大逆転」―常識を疑い、抗え!―

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 あらすじ

 アメリカでの住宅バブル崩壊からリーマンショックへ、世界中を巻き込んだ金融危機。人々はなんの疑問も持っていなかった金融システムにとんでもないほころびがあることに気付いた。

 しかし金融危機前からそれを予測し巨額の利益を上げた男たちがいた・・・・・・

 

 感想

 資本主義映画の総まとめ?

 最近、金融というか資本主義に言及している映画が多い。「ウルフ・オブ・ウォールストリート」や「ウォールストリート」(2010年の作品だが1987年の「ウォール街」の続編だ)、マイケル・ムーアも「キャピタリズム~マネーは踊る~」を撮っているし「ダークナイトライジング」というアメコミ映画においても資本主義による所得格差を描いていた。

 こんなに作られているという事は皆が関心を持っているという事だがそのきっかけとなったのはサブプライムローンに端を発する世界金融危機だ。「マネーショート」はそれを描いた作品である。これ以前にも「インサイド・ジョブ 世界不況の知られざる真実」も同じ題材だがこちらはカチカチのドキュメンタリーで限られた人しか見ないだろう。

 「マネー・ショート」ではブラピやチャンベールを起用し、さらに劇中時間を無視した独白や裸女による専門知識の説明など限りなくエンタメ的に仕上げてある。このやり方は「ウルフオブ~」や「ハウス・オブ・カード」等の流れを汲むものであり、それが世界金融危機について描いているのだから資本主義映画の総まとめと言っていいはずだ。

 結局金融危機とは何だったのか

  資本主義において金融は重要だ。世界中で取引される国際的な金融資産(資産経済)は、世界全体の貿易額やGDP(実体経済)を遥かに凌ぐ。

 例えば2007年における1日の貿易取引量(実体)は380億ドルなのに対して同日の外国為替(資産)の取引量は3兆2000億米ドルだ。

 この膨大さは明らかに「過剰」であり危険だ。実体経済に不安が生じた場合、人々は株やら預金などを取り崩そうと躍起になるが、資産は世界中を移動しており銀行には存在しない。金融商品の価値も下がって・・・・・・崩壊する。

  世界金融危機により金融機関が破たんすると深刻な影響があるためアメリカでは大規模な公的資金投入が行われ、それが幹部への高額ボーナス支払いに使われたと非難が起こった。ボーナスが無ければ優秀な人材の流出が起こったかもしれないが、その下には何万もの死屍累々の貧民がいるし、そもそも金融危機の原因は金融機関の利益追求だ。

 金融システムは複雑であり、専門家の言う甘い誘惑ににっちもさっちもいかない貧民層は中身も確認せず(できず)飛びついて……騙された。それがサブプライムローンであり、住宅バブルが永遠と続くかのような幻想を抱かされ借金させてまで家を買わされ、結局それは崩壊し、家を追い出された人が何人いる事か!

 常識が一番ヤバい

 現在は情報基盤社会であり、我々は大量の情報を自身の判断で処理しなければいけない。そこで役立つのが他人の評価であり、口コミやレビューサイトを覗いて判断することは今や当たり前の行為だ。

 金融業界でもそれは同じで会社や商品に対する格付け企業が存在する。S&PやMoody'sといった格付け機関は権威であり、投資基準の指標となる。しかしその格付けがインチキだったら?

 つまり低い格付けをすれば他のもっと高い格付けしてくれる会社に客を持っていかれる為、ロクに審査をしないで最高の格付けをするのだ。

 常識は意識しなければ簡単に甘受してしまうが、実はそれが全くのインチキであるという事がよくある。権威や歴史にダマされず、自身でふるいにかけて判断しなければならないのだ。

 そしてそれに疑問を持って立ち向かうか、隅で陰口野郎になるかはあなた次第だ。

 

 

世紀の空売り―世界経済の破綻に賭けた男たち (文春文庫)